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(R18) ドリップ・ポルノ (HQ)

第6章  そういうの柄じゃないので(花巻貴大)



 そこから先は、ずるずると。

 駅近の公園で互いの近況を話してるうちに、あれよあれよという間にそういう雰囲気になって。


「ホテル行こーよ、外寒いし」


 まるで飯にでも誘うかのような軽やかさで彼女が言うもんだから、俺はちょっと面食らって小さく笑った。

 なんか、久々に笑った気がする。


「へえ、お前もしたんだ。失恋」
「そ、浮気されたの。ほんと最低」

「武士は相身互い、ってか」
「傷の舐め合いとも言うよね」


 ホテルへの道中、交わす会話はどれも短かった。

 上辺だけの実も心もない会話だ。
 けど、それがひどく心地好い。

 互いに深くは詮索せず、一定のラインより先には踏みこまない。干渉しない。

 俺は、俺の。
 彼女は、彼女の。

 足りない部分を埋めたいだけ。寂しさを、苦しさを、忘れさせてほしいだけ。これ以上ない利害の一致だ。
 
 今だけでいいんだよ。
 偽物でいいから、愛が欲しい。

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