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(R18) ドリップ・ポルノ (HQ)

第6章  そういうの柄じゃないので(花巻貴大)



 食った気のしない夕飯を終えて、居ても立ってもいられず家を飛び出したのはついさっきのこと。

『コンビニ行ってくるわ』
 とかなんとか言いつつ出てきたけど、実際は当て所なく歩くだけ。

 のたくたと、ひとりの夜道。
 仰いだ空はあまりにも暗い。



「わー、花巻じゃん。久しぶり」



 それは、あまりにも突然だったように思う。なんとなしに向かった駅前でのひと幕。

 俺は、とある女に出くわした。

「元気だったー?」
 ほとんど棒読みで喋ってるみたいな、感情希薄そうな声。

 その主は、元クラスメイトの。

 一年生のときだ。
 たしか俺の二つ前の席だった。


「おー、元気元気。もう超元気」


 同じく平淡な声で返して、適当な愛想笑いで場を繕う。へらりと笑んでみせてから、見下ろす先。

「お前、髪痛みすぎかよ」
 プラチナまで色抜きされたその髪を、俺はぶっきらぼうに撫でた。

 乱された髪を軽く直してから「きれいでしょ?」って、微笑する唇には艶やかなグロス。

 こうして顔を合わせるのは、彼女が学校を辞めて以来初めてのことだった。

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