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家事のお姉さんと歌のお兄さんと

第5章 はじめてのおつかい




無事にタイムセールに間に合った。来るまでの間に、何度も不安になり、火の元の確認はした事と預かった合鍵で鍵をかけた事を思い出しては安心していた。

一度不安になるとかなり長引くのをなんとかしたいものだなぁ。

なんて思いながら、百貨店の半額以下で売られているセール品等をメインにカゴに入れていく。自分の家から持ってきたクーポンと、ラビチャの公式メンバーのクーポンがあるから、結構余裕を持って買い物が出来る。

7人分の食料となると、かなりたくさんあるけど……このスーパーは産地直送で鮮度も良いし、安くてたくさん買えるのがいいところだと思う。
家からちょっと遠いのが辛いけど、それを抜きにしてもここは穴場中の穴場中だ。

7人分……と思ったけど流石にちょっと買いすぎちゃったかな?
宅配サービスはダンボール1箱までと決まっているから、それを頼んだとしても両手合わせて10kgになるんじゃないかと言う位の量。

普通に百貨店などで買ったら3万円はしそうな量の食材を、クーポンやタイムセール、片っ端から駆使して2万円にまで抑えることが出来た。ダンボールの配達を委託し、店を後にする。行きはよいよい帰りはなんとやら。一歩一歩歩く毎に揺れる買い物袋が私の体力を奪っていく。

近くの駅の時計を見上げると、15時30分。やらかした、書き置きには15時ちょっと前って書いたのに。

まぁあの様子だと大和さんも起きてこないだろうし、紡ちゃんも鍵持っていたはずだから逢坂さんが入れないということも無いだろう。五分前行動がモットーなのに、初日から自分で決めた時間すら守れないとは。
とんでもなく自己嫌悪に陥っていたものの、歩みは一応進めてはいる。

しかし重い……秋の陽気が今は私にとって汗ばむほどの熱に感じる。

これはちょっと手強そうな予感……その時。


「えっと……あの!」


急に前から声をかけられ、斜め前の足元を見るのがやっとだった私は慌てて顔を上げる。その視線の先にはマスクで顔を、帽子で赤い髪を隠しながら駆け寄ってくるジャケット姿の男の子がいた。
七瀬陸、アイドリッシュセブンのセンターだ。


「七瀬さんこんにちは、今帰りですか?」

「そんなかしこまらないで下さい、陸でいいですよ!あの、昨日はすみませんでした……」


開口一番無かったことにした件を謝罪する陸くん。
律儀で真面目なんだな。

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