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家事のお姉さんと歌のお兄さんと

第4章 挨拶回りと初仕事




幼く見えるとも大人びて見えるとも、どちらも言われるから真相はわからない。自分的には年相応だと思っているのだけれども。


「あっ、でも堅苦しくなくて大丈夫ですので、気楽にお呼びください」

「そっか!ありがとうな、御崎!俺のこともさん付けとかしなくていいから気楽に接してくれよな」


眩しい程の笑顔と共によろしくの挨拶を改めて交わす。
これがアイドルか、と改めて感じる程の眩しさ二連続に、朝から日光湿疹が出るんじゃないかという気分にすらなる。


「兄さん、昨日の夜貸したペン…………あ……」


三月くんを探して出てきたのは和泉一織さん。三月くんの弟で、最年少組ながらかなり大人びた性格をしている……らしい。


「初めまして、私は瑠璃華御崎です!一織さんですね?今日からお世話になります、よろしくお願い致します!」


私がビジネススマイルでニッコリと微笑むと、彼はムスッとしながらそっぽ向いてしまう。大変だ、嫌われたのか……?


「よろしくお願いします……私の事もあまり気にせず呼んで下さい」


うーん、その反応、本格的に関わるの面倒だからとりあえず周りと合わせたって感じか。どうやら手強そうだ。好かれる、事は目的ではないけど嫌われない事は社会で生きていくのはなかなかに難しいものだからなぁ……。ましてや7人も。しかも思春期で複雑なお年頃の男子が7人なのだから、尚更難しいかもしれない。

先行き不安だなぁと思っていると、ほら準備もありますし、なんて言いながら一織くんは三月くんを連れてさっさと引っ込んでしまった。


「はは……良かったですね、皆から好印象みたいですよ」

「皆って皆でも……一織くんはちょっと私を苦手そうな感じでしたし……」


今のやり取りを見ていてそれはジョークのつもりなのだろうか。


「いやぁ、一織くんは不器用でね……まぁそのうちわかるよ」


そうか、これはきっとこの会社の試練なのだろう、手強いポイントは一織くんだとみた。


「でも皆さん個性的で可愛らしいですね」

「あら、じゃーその可愛い皆さんにお兄さんもこれから含まれるって事かなー?」

「!?」


突然頭上から降ってくる声に私は慌てて飛びのこうとするも、うっかりテーブルの足に脛をぶつけて転んでしまう。

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