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家事のお姉さんと歌のお兄さんと

第10章 歓迎パーティの波乱




「そーごくん。ワインおかわり、注いで」

「えっあの、御崎さん……そろそろ控えた方が……」

「んーー!!やだやだ飲む!」


壮五くんが私から受け取ったボトルを私とは反対方向に掲げる。
とりあげられた。ムッとした私は取り返そうとガバッと壮五くんの掲げているボトルへと飛びつこうとするも、失敗して壮五くんの顔面に抱きつく形となってしまう。

椅子ではなく床に座るタイプの低いテーブルでよかったと思う暇もなく私は後ろから引き剥がされた。


「御崎お前さん酔ってるだろ!今のはアウトだ!」

「やまとくんにいわれたくありませーん!」

「あ……む……顔……当たっ……」

「ソウゴ……何という役得……」

「そーちゃん羨ましい」

「御崎さん、落ち着いてください……!」

「つむぎちゃーん、みんないじわるするー、私のみたいー」

「御崎さん……ええと……」

「おう!飲め飲めー!俺が注いでやるから俺んとこ来いよ!」

「三月くーん!ありがとー!そう言うとこ男前ー!」


大和くんの手の力が緩んでいたのをいいことに三月くんの隣にさっと座って、ワインの代わりにビールを注いでもらった。


「ミツずるいぞ!なら俺も飲むかな」

「おー!やまとくんも飲もー!」

「わ、私そろそろお父さんに戻ってこいって言われると思うから……皆さん御崎さんをお願いしますね」

「んー!可愛い紡ちゃんがいなくなるのさみしー!」

「すみません、また明日……おやすみなさい」

「おやすみなさーい!」


そして時間は夜11時。
今は未成年組は入浴中だが、大人はまだまだこれからだ、と言う感じだろうか。


スイッチが入ってしまい、もう自分では抑えらない程に楽しい。ひたすらに楽しい。これが酒の力なのだ。


「あー、イケメンにかこまれてのむのはカクベツですなー」

「おっ?それはお兄さんもイケメンに入ってるのかな?」

「いや当たり前でしょー、やまとくんイケメンじゃないなら世の中のフツメンが泣きを見るってー、カッコイイよおにーさーん」

「っ!?」

「ははっ、大和さんやられてやんのー、抜け駆けしようとした罰だ……いや待てよご褒美か!?羨ましいな!!くそー!!なーなー、俺は?俺はー!?」


もうみんなノリノリというか、本当にただの酔っ払いでしかない。

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