第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
カラン…。
何処からか、金属が落ちる音が聞こえた気がした。
それは、一瞬の事。
気付いたら半兵衛様の刀の切先が俺の鼻先に向けられ、手の平はジンジンと痺れを伴っていた。
俺はその手の平をみると最後の一振りも何処かへと吹っ飛んでいて、あの音は俺の得物が落ちた音だったのかと徐々に理解して行く。
あぁ、俺は負けたんだ…。
そう思うと何だか気が抜けて行く。
端から勝とうなんて思っちゃいねーさ。
ただ、三成様や刑部さんの為に少しでも時間稼ぎになれば良い、そう思っていたんだ。
きっと、半兵衛様にとっちゃ、一刻も満たないんだろうな…。
俺は何日も戦っていた様な感じだ…。
あぁ、疲れたよ。
俺は目を閉じ、もう好きにしてくれよと半兵衛様の次の出方を待っていると、顔にあった鋭い感覚は無くなり刀を収める音がした。
俺はゆっくりと目を開け半兵衛様を見据えると、半兵衛様の口が開いた。
「豊臣の者にとって、左側は力だ…」
その重み、よくよく心得てくれ
「任せてよ…」
アンタ、やっぱりカッコよすぎ…。