第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
私は横に転がった名前様の上に覆い被さり、両手を頭の上に縫いつける。
「何故、何故だ…」
私は名前様の顎をもう片方の手で固定し、私の方へ無理矢理向かせた。
彼女の瞳が困惑と恐怖で揺れる。
まるで、あの時…私と名前様が初めて会った時のように。
彼女の視線が逸らされ、震える声で退いて下さいと言う。
だが、今の私は正常ではなかった。
恐らく今迄で一番ではないだろうか。
誰かが、頭の中で私に語りかけるのだ。
" ケガシテシマエ…"
" ハイジョセヨ…"
ー 異物は要らぬ ー
「わ、私を見ろっ!!」
拒否は認めないっ!
私はそう叫び、彼女の両手を拘束したまま顎にかかっていた手を着物の合わせに手を掛け、無理矢理引き裂いた。
「っっ!!!」
私は彼女の足を掴み、まだ解けもしない彼女の中に己を無理矢理ねじ込む。
「っああぁっ!!」
悲鳴に近い、否、悲鳴が彼女の部屋に響く。
私は彼女の口を手で塞ぎ力強く打ち付ける。
「何故だ、何故だっ!何故っ!!」
あのお方なのだっ!
「何故、私ではないっ!!」
肌がぶつかる音と私の荒い息使いだけが響く。
彼女は瞳一杯に涙を溜め私を受け入れる。
大分解れた名前の中は私を絡め最深部に私を誘う。
「っく…、私はお前を犯しているっ!」
それなのに、それなのに!
「何故、受け入れるっ!!」
彼女を無理矢理犯す。
それなのに、彼女は私を受け入れた。
" コロシテシマエ "
ああ、そうだ。
あの囁きの様に、殺して私だけのモノにしてしまえば良いのだ。
雑に転がした私の刀に手を伸ばし鯉口を切った。
カチャり…。
刀が鈍く光る。
私は彼女と繋がったまま、刀を首元に…。