第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【twenty-seventh.】
わたしは秀吉様を見て本当に驚いた。
だって、お父さんそっくりだったんだ。
いや、そのもの。
お父さんもタイムスリップしてこの世界に来てしまったのかと思った。
したら、秀吉様って言うし。
重治さん、知っていたなら教えてくれたって良いのに。
本当に、イジワルだわ。
わたしは心の中で悪態を付いていると重治さんの姿が見えない事に気が付く。
そう言えば、重治さんがいない。
さっき迄居た筈なのに…。
わたしが重治さんの姿を探して辺りをキョロキョロしていると、隣に居た秀吉様が気に掛けてくれた。
「どうした?」
…声までお父さんと同じだからビックリする。
「あ、重治さんの姿が…」
わたしが秀吉様にそう言うと、ほんの少しだけ秀吉様の口元が上がり、微笑んだ。
「フッ…半兵衛も、お前も、特別なのだな」
秀吉様はそう言い、持っていたお酒を煽った。
「特別…って」
わたしは秀吉様の言った意味が分からず、どう言う事だろうと思っていると柔らかい表情で答えてくれた。
「半兵衛の…」