第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
僕は皆にどう映ったのだろうか。
少なくとも、冷静ではなかっただろう。
場が凍り付いた時、僕の部屋の前から声が掛かる。
「遅くなり、申し訳ご…」
「そんな事は後だ…急ぎたまえ!」
僕は医者に怒鳴り、処置を急がせる。
医者が彼女の具合を診て行く。
「竹中様、やはり刀の傷が一番酷く…」
引き抜いてからが問題です、と言った。
「縫合、か…」
医者は更に言葉を続ける。
どうやら刀を抜くまでは耐えられる事が出来るだろう。
問題はその後だ。
傷口を消毒するのだが、刀の錆等が傷に入り込んでいる為、その傷口を抉らなければならない。そして、縫合もまた然り。
「彼女の気力と体力が持つかどうか…」
医者はそれしか方法がないと断言する。
「彼女…次第、か…」
僕はこの時代を心底憎んだ。
それでも、やるしかない。
彼女を助けるにはこれしかない。
「始めてくれ…」