第1章 With Janah (ヨナ) Act 1 ✳︎R18
「私っておっちょこちょいだから、床のものにつまづいてよろけちゃったの。それで、その時、シリウスさんの袖を掴んだらあんな事に....」
「そんな見え透いた嘘を、俺が信じるとでも?」
ヨナはフンと鼻を鳴らして、背を向けた。
(何言っても、無駄そうだな…。)
ヨナが話を聞こうとしないことに、はシュンとして小さくなった。
そのまま、何も言葉を紡ごうとしないに、ヨナは背を向けたまま声をかけた。
「…君はこの俺に感謝しなよ。」
「え?」
「真実はどうあれ、この俺が、あるまじき行為を許してあげたんだから。」
ヨナの顔は見えないが、その声は怒っているようには感じられない。
「…二度と、紛らわしいことしないでよね。」
ポツリと言われた一言に、は全てを悟った。
(ああ、何だ、勘違いしたこと、謝りたくないんだ。)
が、そう心の中で呟くと、何故だか可笑しくなってフッと笑みが溢れた。
愛しい、愛しい、あなたのやきもちーーーーー。
Fin.