第2章 キノコパニック(ゾロ)
「だったらそのウサギダケを探せばいいんだな!」
「ああ…‼︎」
チョッパーの言葉を受けてウソップが尚もルフィの攻撃を躱すユナに叫ぶ。
「ユナー!聞いたかー!ウサギダケを見つけねェとルフィは止まんねェんだとよー!」
『えぇ、分かった!…じゃあ二人ともそっちは宜しくね!』
言うが早いかユナはふわりと舞い上がると空中で停止した。
『ルフィ!捕まえれるものなら捕まえてみなさい…!』
まるで鬼さんこちらよと言うかのようにユナはルフィを引き付ける。
「あ、おい!一人で大丈夫かよ!」
ウソップが叫ぶもその声は届かず、ユナとルフィは森の奥へと消えて行った。とりあえずはウサギダケを見つけないと事態は収まらないと互いに顔を見合わせ頷くと、ウソップとチョッパーはウサギダケを探しに駆け出した。
ウソップ達が解毒を探す一方で、ユナは空を飛びながら後ろから飛んで来る拳を必死に避けていた。
「に〜く〜‼︎ウガ〜!」
『…っ!』
ルフィを撒いて逃げるのは簡単だが、最早獣化したルフィを一人にするのは危険すぎる。幸いな事にココは孤島だ、自分達以外に人はいないだろう…危険があるとするならばナミとロビンに出くわす事。だが今二人は砂浜で寛いでいるはず、此方から行かない限りルフィが会う事はないだろう。
それでも念には念をとユナはメリー号が停まっている砂浜とは逆の方向へとルフィを誘導する。低空飛行の為生い茂る木々を避けながらルフィの攻撃も避けて逃げるのは中々に神経を使うもので、いつの間にかユナの額には汗が滲んでいた。
鬱陶しげにその汗を手で拭うと前方が明るい事に気が付いた。
──砂浜だ、やっと森を抜けれると一瞬油断したのがいけなかった。
「待て肉ーー‼︎ゴムゴムのォ〜ピストル!」
『──っ‼︎』
振り向いた時にはルフィの拳が目前まで迫っており避けるのは不可能。ユナは咄嗟に腕をクロスさせて攻撃を受け止める、だが所詮は男と女、それに加え理性を失ったルフィの拳の威力を殺す事はできずユナは数本の木と共に砂浜へと吹き飛ばされた。
『……ッゴホ、…ゴッホ……ッ』
攻撃を受けた衝撃と木にぶつかった衝撃とで呼吸がうまく出来ない。