第8章 個性豊かな兄弟達
不安そうな表情に七葉は微笑んで見せる。
「大丈夫だよ!痛みがある訳じゃないし、さっきまで歩き回ってたからちょっと疲れたんだと思う。」
加州「そっか。」
加州は、納得がいかないようだったが返事をし、主の頭を撫でる。
薬研「にしても、大将は少し休むべきだな。」
そう言うと薬研は、スッと立ち上がった。
薬研「加州の旦那、大将を寝所に運んでやってくれ。俺っちは、薬草や漢方の知識があるから、何か疲労回復に効くのが無いか手入れ部屋を見てくる。五虎退、案内を頼めるか?」
五虎退「はっ、はい!」
乱「薬研、ボクは何をしたらいいのさ?」
何も頼まれてない乱は、不満そうに呟く。
薬研「乱も俺っち達と手入れ部屋だ。探すのに人手はあった方がいいだろ。」
乱「了解!」
何だか何でもないのに病人扱いされ、心苦しく声をかける。
「あの、本当にたいしたことないよ?」
薬研「立てねぇのにか?」
「うっ」
そう言われると返す言葉がない。
加州「いいからここは薬研に任せて、主はおとなしく布団に行くよ!」
加州はそう言うと七葉の体を抱き上げる。
「加州!下ろして、恥ずかしいよ。」
加州「何言ってんの?主、歩けないでしょ?」
「でも、、」
お姫様抱っこに動揺していると、加州が続ける。
加州「こんな時くらい甘えなよ。それに、ちゃんと抱きついてないと落としちゃうかもよ?」
その言葉に観念した七葉は、おずおずと加州の首に腕を回し、胸元に顔を埋める。
「ありがとう。ごめんね、迷惑かけて。」
加州「いいよ、主なら迷惑だなんて思わないから。寧ろ役得だよねぇ。」
笑ってくれる加州にホッとしつつ、そのまま顕現部屋をあとにする。
薬研「俺っち達も行くか。」
薬研達はそれを見送ると、その後を追うように顕現部屋を出ていった。