第37章 未定さ
お付のキツネ「鳴狐も心配してますぞ。」
鳴狐「うん、心配。」
「わかった、わかったから。」
鳴狐に下から覗きこまれ上目使いに見つめられ、慌てて返事をすると鳴狐は満足気に笑った。
加州「じゃ、出陣は俺、愛染、乱、五虎退、鯰尾でOK?」
乱「あれ?伯父さんは?」
お付きのキツネ「そうですよ、まさか加州どのは鳴狐をお忘れで!?」
鳴狐「、、、、?」
加州の言葉に突っ込みを入れたお付きのキツネと、不思議そうに首をかしげる乱と鳴狐に加州は慌てて答える。
加州「あっ、違う違う!鳴狐には残って主たのみたいなって。今日近侍でしょ?」
加州の言葉に薬研が続ける。
薬研「まぁそうだな、俺っち1人じゃ手が回らないこともあるだろうし。それに大将も鳴狐なら安心できるだろ?」
「そうだね。」
確かに薬研の言う通り、一晩心配して側について居てくれた鳴狐なら不安に思うことは何もない。
「それじゃ、出陣の皆は支度して。片づけはしとくから。」
七葉がそう言うと、皆おのおのに席を外して行く。
「さてと、」
それじゃ、お片付け始めますか。と思い食器を下げようとすると不意に薬研に手首を捕まれる。
薬研「おっと、大将はこっちな。」
「へ?」
意味がわからずきょとんとすると、薬研が少し呆れた感でいう。
薬研「今は何でもないとは言え、昨日倒れたんだ。一応診察する必要はあるだろ?」
「あ、、」
診察って言葉に前回の口づけを思いだし思わず顔を反らすと、鳴狐と目が合う。
それを察した、お付のキツネが口を開いた。
お付のキツネ「跡片付けはこの鳴狐にお任せですぞ。」
「えっ、いや、、」
薬研「早速で悪いな、鳴狐。」
意図しない返事に困惑していると、薬研の言葉に鳴狐までもがグッと親指を立てたのでそれ以上何も突っ込めずお礼を言う事しかできなかった。