第7章 お庭探索
玄関から出て南に回ると、いつもの景趣景色が広がっている。
七葉達はまず、茶室から見て行くことにした。
茅葺き屋根に落ち着いた色の土壁。
中は意外と広く、床の間には掛け軸と一輪差しの花瓶がある。
茶器、茶筅、茶釜、水差し、茶菓子入れなど、茶道の道具一式も全て揃っていた。
「わ~懐かしい。これならいつでも、お抹茶立てれるね。」
七葉がニコニコして言うと、加州が不思議そうな顔をする。
加州「主、お茶立てれるの?」
「うん。うろ覚えだけど、昔やってたから薄茶なら一通りは。」
五虎退「あるじ様、、お抹茶って、苦く、、ないんですか? 」
「ん~、そのままだと苦いかもだけど、最初に甘~いお菓子を食べ切ってから飲むから、むしろ苦いのがちょうどいいな。」
五虎退「甘~い、お菓子。」
「うん、和菓子ってすっごく甘いよね。今度作ってあげようか?」
お菓子に反応した五虎退は、七葉の言葉に目をキラキラさせる。
どうやらお茶よりお菓子の方が気になるようだ。
材料になるような物が畑にあるといいね~と話ながら茶室を出て、和風庭園の景色を楽しみながら池に向かう。
景趣の時から思っていたが、四季折々の草花が咲き乱れる美しい庭は、とても憧れるものだった。
池について水面を見ると、綺麗な錦鯉が泳いでいる。
五虎退「わぁ~綺麗な鯉だ。」
五虎退が屈んいて覗き込むと、鯉たちが一斉に五虎退をめがけてやってきた。
五虎退「へ?へ?わぁ~~」
どこの世界も鯉はお腹が空いているものらしい(笑)
あまりの勢いに五虎退が怯んでいると、今度は頭の上の虎さんが水面めがけて飛びかかる。
五虎退「だっ駄目ですよ~」
加州「よっと。」
虎は池に落ちる寸前のところで加州に捕まれ、ホッと胸を撫で下ろした。
五虎退「あっ、ありがとうございます。」
加州「これは内番に鯉の餌やり当番が必要だね、ただし五虎退外で。」
加州はそんな事を言いながら五虎退の頭の上に虎を戻してやる。
「そ、そうだね。」
でないと鯉vs虎の仁義なき戦いがおこりそうだ。