第6章 突然の帰還
土間の出入り口から外に出ると、七輪でめざしを焼いている五虎退の姿が目に入る。
五虎退「ダ、ダメ、、ですよ~虎さん。」
五虎退は時々よってくる虎達から、必死でめざしを守っていた。
「五虎ちゃん、代わろうか?」
七葉は思わず声をかける。
五虎退「いえ、、大丈夫、です。あるじ様のお魚は、ぼくが守って見せます。」
「そ、、そう?」
五虎退「はい!任せて下さい。」
嬉しそうに言われ、魚は五虎退任せることにして中に戻ると、加州が炊き上がったご飯をよそおうとしていた。
「わぁ~ツヤツヤ~、美味しそう!」
七葉はお釜を覗きながらづぶやく。
「やっぱり炊飯器とは違うなぁ~。加州ご飯炊くの上手だね!」
七葉が誉めると加州はちょっと赤くなる。
加州「俺、川の下の子だからさ、そうゆうのも意外と詳しいよ?」
「ふふっ、ふふふ」
右手に刀ではなく、しゃもじを持ちながらどや顔でゲームと同じ台詞を言うものだから、七葉は思わず笑ってしまった。
加州「も~、何でそんなに笑うかなぁ?」
ふくれながらご飯をよそう加州に謝っていると、外からめざしを持った五虎退がやって来る。
五虎退「守り抜きました。誉めて下さい。」
笑顔で差し出されたお皿には全員分のめざしがのっている。
「うん!頑張ったね~♪」
七葉は五虎退の頭を撫でてめざしを受けとるとそれぞれのお皿に盛り付けた。
「さぁ、冷めないうちにご飯にしよう!」
お膳を持っていき広間で朝食を済ませて、皆で洗い物をする。
一段落ついたところで加州から今日の予定の話が出た。
加州「ところで主、今日はどうするの?」
「どうって?」
加州「近侍とか、この後の予定とか。」
「あ、うん。今日の近侍は五虎ちゃん。」
五虎退「ぼ、ぼくですか?」
五虎退は突然の指名に驚いたようだ。
「うん!これから人数が増えるわけだし、皆の事をよく知るためにも、近侍は基本日替りにしようと思ってて!昨日は加州だったからよろしくね、五虎ちゃん。」
五虎退「はい。頑張ります。」
「後は、建物の外が見たいかも!」
加州「あっそっか、昨日は室内だけで終わっちゃたもんね。」
「うん。資材の量とか畑で何がとれるのかとか、色々見ておきたいし。」
こうして予定は、お庭探索に決まったのであった。