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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第12章 忍びの庭 後編


『愛様、おはようございます』

今日も三成は、玄関で先に待っていた。

「おはよう、三成くん。あ、寝癖…」

頭のてっぺんで、ピョンと立っている髪を撫でながら、
愛はクスクス笑っていた。

『っ…!愛様…』

いつもは鈍感でのほほんとしている三成だが、
急に頭をなでられ、顔を淡く染める。

「ご、ごめん!急に触ったりして…」

思わぬ三成の反応に、愛は慌てて手を離した。

(びっくりした…三成くんて、こんな反応した事あったっけ?)

『すみません…ありがとうございます。気をつけますね』

そう言うと、ニッコリ笑った。


『お、今日も早朝散歩か?いい事だな』

急に背後で声がして、二人が振り返る。

「わぁ、秀吉さん!おはよう」
『秀吉様、おはようございます』

『うん。おはよう…ん?』

秀吉は、愛の顔を覗き込むように見ると顔を顰める。

「ど、どうしたの?」

『愛。昨日は夜更かししたな?ちゃんと寝ないと駄目だって言ったろ』

愛はビックリした顔で秀吉を見る。

「な、なんでわかったの?!」

秀吉は、自然な所作で愛の目元を親指でなぞると

『目元が赤くなってる。ばればれだぞ?』

と、厳しい顔をした。

「ごめんなさい…最後の晴れ着がもう仕上がるとこだったから…」

三成は、未だ愛に触れている秀吉との間に割って入るように、
愛の手を取りながら、無邪気な笑顔を向ける。

『ということは、わたくしのが出来上がったのですね?』

無理やり押しのけられるような形になった秀吉は少し面食らいながらも、
一歩下がって三成を見る。

「うん。夜明けくらいに出来上がったよ。
つい、夢中になっちゃって…」

本当は今日の朝までに仕上げたかった理由があるとは言えない。

『では、あまり寝られてないですよね?今日はやめておきますか?』

『そうだぞ、あんまり無理するなよ』

三成と秀吉に心配をされるが、

「ううん。大丈夫。あ、そうだ、今日は秀吉さんも一緒にどう?」
と、二人に笑顔を向けた。

『そうだな、今朝はゆっくりできるから、たまには一緒に行くか』

笑い合う秀吉と愛は、一瞬見せた三成の残念そうな表情には気づかなかった。
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