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『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔

第1章 私の世界の中心は、すっかり貴方になってしまった


貴方はいつもどこにいても
明るくて周りの中心でいた。
その背中を見ているのが私は好きで…
けれど、貴方は直ぐに気付いてくれるのだ。
誰に対しても優しくて
手を差し伸べてくれる。
あぁ、この人は中心にいながらも
周りを良く見ているんだなー…と。
いつの間にかそんな貴方が
とても好きになっていた。

「朝倉さんと席が隣りって初めてだよな」

覚えている、好きだと確信してからの席替え。
貴方と初めて隣りになった。
驚きと興奮、感動や幸せ。
全てが一気に押し寄せて来て
なにから話せばいいのかとか
とても戸惑った事もあった。

ーーー…

貴方はとてもモテた。
身長はあるし、顔もそこそこカッコイイ。
いや…嘘。とてもカッコイイ。
それでいて案外女の子に対して紳士であり
面倒見のいい優しい人。
音駒と言えば、バレーの強豪校で
そこの主将であり運動も出来て、頭もいい。
特徴的なトサカ頭の寝癖はギャップを感じて
可愛らしくてカッコイイ。
中心にいる貴方は誰からでも憧れの的だろう。

恋は盲目と皆は言うけれど
きっと私もそうなっていると思う。

ーーー…

彼を見ていると分かる事が増えた。
仕草や意地悪な所、けれど結局優しかったりする

「あぁ…やっぱり好きだな」

誰もいない放課後の教室で
彼のいつもいる机を自分の椅子に腰掛けて
隣りで見つめながらぽつりと呟いた。

ーーー…

私は脇役、ヒロインにはなれない。
ヒロインを立てる。
それが脇役に課せられた義務である

小さい頃から『お姫様』に憧れを抱いていた。
けれど自分は可愛らしくもなく、美人でもない。
誰かを好きになっても上手くはいかず
結局、告白する勇気は私にはなかった。

脇役として愛のキューピットを請け負う
なぜか上手く成就して行った
周りから感謝されて、それでもいいかな
そう思った。けれど彼は私に言ったのだ

「お前ってさ…その…成雲(なぐも)と仲良かったよな、協力してくんねぇ?」

あぁ、貴方の口からは聞きたくはなかった。
それに成雲ユカは私と仲のいい友人
また想いを伝えずに失恋した。

けれど彼は照れながらに笑うから
今更嫌だと言えなくて、私も笑い返す

「うん、分かった」

素直じゃない自分が大嫌いで
でも大好きな人には嫌われたくはなかったから…

『私の世界の中心はすっかり貴方になってしまった』
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