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さにわのはなし【刀剣乱舞】

第10章 「愛とはどんなものかしら」


束縛とか、独占欲。
これもきっと、ただの不安の発露を、
八つ当たり的に相手に投げつけているだけに過ぎない。
相手の自由を許していないから。

肉体的に求められること。
これもきっと、単独でなら愛とは判じがたい。
性的にそそられることと、
人格を敬うことは、同じことではない。
好きでもない相手と事務的に抱き合うことはできる。
命乞いとして体を差し出す例だって世界にはある。

……というか。
大事にしたい人の内臓を軽率にいじるとか、
後先を考えない行為に至るとか。

相手の未来より目先の肉欲が勝った果ての行為は、
色々なケースを調べて目にしたが、なかなかに悲惨だ。

これらを愛情と誤認してしまう人がいるのは、
きっと「そう思い込まなければ心が死ぬ」
くらいのストレスが伴う行為だからだろう。

世間の幸せとやらを得るために、
自分を騙してまで地獄に居座る人々の姿は、
なんだか「アットホームな職場、社員はみんな家族」と、
やりがいを謳い、虚ろな目で働き続ける、
ブラック企業の社員のようですらあった。



結論。

家も世間も信用できない。
彼らの提供する幸福に、私の望む先はない。

そう思った矢先に、
歴史修正主義者との戦争が始まった。

危険だが、給金は良い。家からも離れられる。
ついでに言えば、安全な未来を得るための戦いだ。
私がしり込みする要素が見当たらない。

幸せが何かはわからない。
私も良い人間とはいいがたい。
ならば死んだとて困るまい。

自分のために死んだところで、
私という人間のために嘆くものなど居るはずもないのだし。

だったらこの命は、自分で使う。
私が、私の決断のために、
徹頭徹尾納得の上で、好きに投げ捨てることにした。

家名のために使われそうになったのだ、
私が家名を使ったところで、
いったい何の問題がある?
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