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さにわのはなし【刀剣乱舞】

第10章 「愛とはどんなものかしら」



運命の花嫁だの恋人だのの正体を直視して
色々と精神が削れたところで、
何を血迷ったか、
「なんで白馬の王子様が欲しかったのか」
まで考えてみることにした。

多分、相当に気が滅入っていたのだと思う。
どう見積もっても地獄を見ることは確定していたが、
完全に自暴自棄になっていたものだから、

なるようになぁれ!と、
理想の王子様の化けの皮剥がしに取り掛かる。

王子様に欲しい要素を見つめて、
それがどうしてほしいのかを考えて、
クソのような理由でも洗い出す。
それだけの行為。

でも、ほぼ精神的な自傷行為と言っても差し支えなかった。
だって得られた結果が、こうだ。


何もしない私を天上に連れて行ってくれる宅急便。

私の心を害さず、私の望む方法で、私を満たしてくれる、
テレパシー対応のイケメン型全自動非日常供給人形。
なお、メンテナンス不要。


要するに、奴隷にされかかったことにショックを受けていた私も、
親と同じで、奇麗で便利な奴隷を欲しがっていたのだ。

割と本気で死にたくなった。

しかし自分が聖人でないということは、
自分で証明してしまったから、否定もできなかった。
死んだところでなかったことになるわけでもないし。

世界は汚い! と嘆いて拗ねることもできなかった。
目くそが鼻くそを笑うようなものだ。
爆笑したところで、私が女神的な何かになれるはずもない。

自分は一生、自分のままだ。
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