第19章 湯殿
夕飯が終わったらすぐ行くから待っててね!って、夕飯の最中にあるじさんからこっそり耳打ちされたんだ。
そんなわけで、今は湯殿の前で待ち合わ中。
「乱れちゃん!持ってきた?」
「うん、バッチリだよ!この丸いのって本当にお湯に入れたら無くなるの〜?楽しみだね!」
シュワーってなるやつだと思うんだけど‥と、覗き込んできたあるじさんをチラッと見る。
いつも思うんだけど、寝巻きの浴衣に、髪をお団子にしたあるじさんはちょっと色っぽいんだよね。一兄にバレたらお覚悟もねだろうな…今更だけど、ボク結構危ない事しちゃってるよね。
「よし、じゃあ行こうか?また中でね!」
湯殿の前にいつもの札を掛け、暖簾を潜る。