第11章 love trip
しょーくんがいない。
俺はベッドを離れて家中を探した。
だけどどこにもいなかった。
服も靴も荷物もあるのに…。
チョコの箱は空になっていて、しょーくんが残していた赤いハートのチョコもなかった。
しょーくん…どこにいるの…?
不安でいっぱいになる。
俺はベッド下に脱ぎ散らかした服の中から、とりあえず自分の服を着ることにした。
「…ちくん。」
んっ?何か聞こえる…。
「た…ちく…。」
シーツのほう、から?俺はそ~っとシーツを捲った。
「たとちくん、たとちくーん…!」
へ…?あれ?俺の目がおかしいのかな…。
そこには20㎝位の…
「もう!たとちくんってば!」
ぷぅ~っと頬を膨らませてる
俺の愛しの
「しょーくん…?」
うん!うん!と後で首が痛くなっちゃうんじゃないかって心配になるくらい、何度も頷いている。
「起きたらね、ちっちゃくなってた…。」
涙を溜めて一生懸命話すしょーくん。
そのまま縮んだようで、小さくても体は大人のしょーくんのまま。
ショックが大きくて本人は気づいてなさそうだけど、裸なんだよね…。
とにかく落ち着かせてあげたい。
「しょーくん、大丈夫だから。ちゃんと元に戻れるから。ねっ?」
「たとちくん、ほんと…?」
うるうるの上目遣い可愛いじゃねぇか!
しかも「さとし」が「たとち」…。
俺はしょーくんの小さな頭をポンポンしてあげた。
「…ねぇ、たとちくん。たっきから、どこ見てるの?」
急に真顔になって聞いてきたけど…仕方ないでしょ、自然とね、視線がいっちゃうんだよ…。
「しょーくん、とりあえず着れそうなもの見つけてくるから。」
しょーくんは
ん?と首を傾げて…
周りをキョロキョロして…
自分の体を見て…
固まった…
やっと気づいたか。
「たとちくんのエッチ!」
後ろを向いてもお尻見えちゃってるからね…。
俺は大きめのバンダナを持ってきて、しょーくんの体に走れメロス風?テルマエ・ロマエ風?に巻いてあげた。
「わぁ、やっぱりたとちくんは器用だね。ありがとう。」
しょーくんも気に入ってくれて良かった。
…可愛くてつい、膝上の丈にして肩と腰の結び目をリボン結びにしちゃったけど…。
話によると、赤いチョコは一度目が覚めた時に食べたらしい…。