第4章 甘いキスを教えてあげる ※【大将優】
腕に抱いた感触も重みも、髪から漂う甘い香りも。
今の俺にとっては、全てが幸せに繋がっている。
行為に及ぶ前、部屋を冷気で満たすためにエアコンのスイッチを入れたけれど。
そんなもの意味をなしていない程に、全身が火照っている。
それでもこうして身を寄せていたい。
紗菜ちゃんもそうであればいいな、と思わずにはいられない。
「体、キツくない?」
「全然。優さん、ありがとう…。すごく気持ち良かった。それに今、すっごく幸せ…」
「俺も気持ち良かったよ。でも、俺の方が絶対幸せ」
「えー?私の方が幸せだもん!」
「ぜってー、俺!」
半分ふざけて、半分本音。
紗菜ちゃんからもピタッと密着してくる。
改めて聞かなくても、俺と離れたくないんだってわかって…
窓の外の夕焼けが色濃くなり、そして闇に変わるまで。
二人でじゃれ合いながら、ただベッドで寄り添った。
結局この日、紗菜ちゃんは自分の家には帰らなかった。
というより、この日以降も俺たちが離れる夜はなかった。
つまり、ひょんなことから同居し始めた俺たちは、数か月経った今でも、二人で仲睦まじく暮らしている―――。