第4章 甘いキスを教えてあげる ※【大将優】
「ごめん…っ、紗菜ちゃん…」
「え…」
「ちょっと、痛いかもしんねぇ…」
腕に一瞬だけ、思いきり力を入れて…
暴れ出しそうな気持ちを閉じ込めた。
「んんっ…、ど…したの?」
「…すっげー紗菜ちゃんが愛おしくて堪らない。だから優しく扱いたいのに…その反面、めちゃくちゃに乱しちまいたい…。ちょっと待って……俺今、どうしていいかわかんねぇわ…」
「………どっちも嬉しいよ」
「え…?」
「優さんになら、優しくされるのも、めちゃくちゃに乱されるのも、どっちでも嬉しい」
紗菜ちゃんの唇が、ゆっくりと俺の唇に触れる。
「そんな風に思ってくれてるなんて…夢みたい…。泣けちゃうくらい、嬉しい…」
そう言って俺を見上げる紗菜ちゃんの瞳は、本当に潤んでいて…
もうその瞬間、さっきまでの迷いなんて消え失せてしまった。
思うまま、めいっぱいの愛情を届けるように抱こう。
痛みや恐怖だけは与えないように。
俺の想いを、受け入れて欲しい。
「紗菜ちゃん…好きだよ。すっげー好き。めちゃくちゃ好き。ったく…何でこんなに好きにさせんだよ…」
「や…もぅ…泣かせようとしてるでしょ…?」
「してねぇよ…全部本心。でも…泣いてる紗菜ちゃんも可愛い…」
遂に瞳から溢れてしまった涙。
紗菜ちゃんの頬を両手で包んで、その顔を覗く。
初めて見る泣き顔。
でも、傷つけてる訳でも悲しませてる訳でもない。
俺のことを想ってくれてる涙。
またひとつ、君のことが好きになる。
二人黙ったまま、引き寄せられるようにキスをする。
沢山沢山、愛情を重ねて。
紗菜ちゃんも俺を求めてくれてるのが、唇から伝わる。
息を乱しながら、きっと彼女には激しすぎるくらいの口づけにも応えてくれて…
もう…心も体も、紗菜ちゃんが欲しくて堪らない。