第4章 甘いキスを教えてあげる ※【大将優】
勘違い…?俺が…?
「優さん、いっつもストレートなんだもん。 "綺麗になった" とか "可愛い" とかすぐ言うし。髪の色変えたら真っ先に気づいて褒めてくれるし。この前だってモンブラン食べさせようとしてくるし。今だってほっぺ抓ってくるし…。そういうの、全部全部勘違いしちゃうんですからね…」
しがみつく腕の力がギュッと強くなる。
ひとつ呼吸を置き、それはそれは艶っぽい瞳で、また俺を見つめる。
勘違いしちゃうって…。
それ…都合よく受け取っていいのか…?
紗菜ちゃん、俺のこと……?
触れたい…。
紗菜ちゃんに、すげー触れたい。
でも酔ってる女の子にそんなことすんのは…。
「優さん……」
「はい……」
「キスして?」
「………」
はい…?
ちょっと待って…。
「ダメ?」
思わず紗菜ちゃんの唇に目が行ってしまう。
ピンク色の艶々の唇。
程よい厚みで、柔らかそうで。
そんな風に誘われたら、もう……
酔ってるとか酔ってないとか、考えられなくなる。
「そんなこと言うと……本当にしちゃうよ」
逃がさないように紗菜ちゃんの腰を引き寄せた途端、その柔らかな感触にすら俺の欲は反応してしまった。
「うん…、して…?」
おねだりしながら、瞼を閉じる紗菜ちゃん。
ヤバイ……
可愛過ぎかよ……
胸がグワッと熱くなったその勢いのまま、紗菜ちゃんを抱きしめて唇を重ねた。
一瞬だけ離して、紗菜ちゃんの瞳を見つめて…
啄んで、唇で唇を甘噛みして、舌先で焦らして。
厭らしいことなんて知らなさそうな紗菜ちゃんの唇を、沢山味わう。
「んんっ、ふぅ…」
唇の隙間から漏れる甘い声。
それすら愛おしくて、もっともっと聞きたい。
ちゃんと聞きたい。
一旦唇を離してリモコンを掴み、テレビから聞こえてくる悲鳴をシャットアウトする。
そして改めて紗菜ちゃんに向き直った。
トロンとした目で俺を見上げながら、呼吸を速くしている。
「ごめん、苦しかった?」
「…大丈夫。キスがこんなに気持ちいいって思ったの、初めて…。もっと優さんのキス…知りたい」
「じゃあ…甘いキス、教えてあげるね」
「うん…」