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日章旗のデューズオフ

第4章 SSS キャラ×男主:漫画作品篇(―/2日更新)



★GK尾形百之助

そんなばかな。朝チュンで眼前に尾形がいるなんて誰が思う。誰も思わない。反語である。架空の登場人物がどうして俺と同衾しているんだろう。実態がある理由やここに居る理由が分からない。目を擦ってみても頬を抓ってみても事態は変わりそうもなかった。これって俗にいう逆トリップって奴なのかな。そんなばかな。
「……ん」
尾形が小さな呻き声を発したかと思うと、ゆっくりとゆっくりと瞼を開く。特徴的な眦が解かれて光を灯さない瞳がころりと揺れる。しかし意識が薄ろうのか、数回まばたきを繰り返すと再び目を瞑ってしまった。深い呼吸が胸元を上下に揺らし始める。
「肝が座ってる……さすが尾形」
見知らぬ天井を見たら疑問に思いそうなのに。尾形ともあろう者が警戒心が薄い。それとも俺が読み取れてないだけで物語だとこんな感じ、とか?
「――にしても、現物の尾形って……こんなにダンディでハンサムなんだな」
「それはどういう意味だ」
「やだ起きてる」

★GK尾形百之助(同衾主続き)

あれから尾形は俺の家で暮らすことになった。右も左も分からない彼を追い出すのは気が引けたからだ。でもいつか元の世界に帰るかもしれないから文明の利器には触らせていない。こちらでの利便性の高い生活水準に慣れてしまったら困るのは尾形だ。昔から思っていたけど、夢小説の逆トリップってキャラクター帰す気ないくらい至れり尽くせりだよな。ま、だからって不便は感じさせたくなかったから、俺は考えた。
「尾形さん、ここを宿だと思って生活してください。身の回りの準備や案内は俺がします。尾形さんはただこの家で生活していてくれれば良いです」
「本気か」
「はい。尾形さんが不自由しないよう、誠心誠意お世話致します」
「……」
旅館や宿みたいに決まった時間に決まった準備をして尾形を案内すれば、彼が何かを覚える必要は無いと思った。この時は妙案だと思ったんだけど、半日も経つと「あれ? これ誘拐してきた人質を監禁してるみたいじゃね?」と気付く。どおりで尾形の顔色が一瞬曇ったわけだ。再考の余地ありだな。

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