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【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】

第2章 別離。



シェリルside
*  *  *  *


「ロー…!!」
「…シェリル??」
「傘、持ってきたの。雨降りそうだったからっ!!」


息を切らしながら、そう言った。

ニッ、と笑うと、ローは優しげな笑顔で返してくれた。
傘を渡そうとして、手を引っ込める。
彼の両手が、今読んでいる本で塞がっていた。
そのことに気づき、彼は、…ぁ、と声を漏らした。


「ローが帰るまで、ここに一緒にいる!!」
「…、大丈夫だ、先にかえ―――――」
「一緒にいるの…っ!!」


家のことなら全部した、から。

ぽつり、と、俯きながらそう言うと、彼は、クスッ、と笑った。
顔をスッ、と上げると、ローは少し心配そうな表情も混じえながら、微笑んでいる。
椅子をくれ、と、店の奥に入って言い、持って来た。


「具合が悪くなったら、帰れ」
「……うん、!!」


…まったく、お前は…。

ローは、呆れた顔をしながらも、必ず、優しい表情を向けてくれる。
彼と一緒にいられる時間ができたことに、私は嬉しくて笑った。
邪魔だけはしないように、静かに、興味を持った本を開く。
「海賊」に関する、物語の小説だ。


「…シェリル、何読んでる、?」
「海賊の物語の本ー!!」
「海賊に…、なりてぇのか?」
「うーん…どうだろう、? でもなんか、自由に海を渡ってるって素敵だなぁって…!」


…いつか、一緒に海に出るか。

ぼそっ、と、思いつきで呟いたローの一言。
私は、彼がそんなことを言うとは思わなかったから、目を丸くした。
ローは椅子に座っている、そんな私を見下ろして、また、クスクス、と笑う。


「俺がお前を、ちゃんと守れるようになったらな」
「本当? じゃあ、早く強くなってね!」


約束だからね。

私がそう言うと、お互い、再び自分の世界に戻っていった。
彼と一緒なら、どこへでも行ける気がしていた。
どんな困難があっても、乗り越えられる気がしていた。


(いつか…、海へ…、)


―小さな、私たちの夢だった、―
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