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フェイト・エンカウンター

第1章 寒い町での人探し


探し始めてから少し経ったとき。


「もしもし。はい…、はい…。分かりました」


一緒に探してくれていた警察の人に連絡が来て、それがあたしに伝えられた。その言葉を聞いて、あたしは泣きそうになった。


「妹さんが保護されたそうです」

「良かった…」



***



連絡があった交番へ急いで向かうと、零花が椅子に座って待っていた。その横には、若い男の人がいて、零花と楽しそうになにか話している。


「零花っ!もうっ、心配したんだからねっ」

「おねーちゃん!」


あたしたちはぎゅっと抱きしめあって、お互いの存在を確認した。それからあたしは、零花の隣にいた男の人に頭を下げる。


「この度は妹を助けてくれてありがとうございました。なんてお礼を言ったらいいか…」

「そんなに改まらなくて大丈夫だよ。それじゃあ、俺はこれで…」

「ほんとに!ありがとうございました!」


半ば叫ぶようにお礼を言ってから、あたしは零花の手を引いて交番を出た。家に帰る途中に、軽くお説教をすると、「ごめんなさい…」と小さな声で言われてしまい、それ以上言うのが躊躇われたので、一回口を閉じて歩くことに集中した。

こんな夜に高校生と小学生が二人で出歩くなんて、危ないことだと分かっていたけど、お金なんてもうなくなってしまった。


「ねぇ…「ちょっと待って、君たち!」……」


零花を助けてくれたあの男の人が、あたしたちの方へ向かって走ってくる。車で…。


「乗っていく?子供二人だけじゃ危ないし」

「……えっと…。結構です」

「乗る!おねーちゃん、乗ろうよ!」


乗る気満々の零花に少々呆れながら、あたしは「じゃあ、お言葉に甘えて…」と乗ることにした。

乗ってみると案外座り心地がよくて、思わず寝そうになってしまう。零花に至っては寝ていた。


「家はどこら辺?」

「駅までお願いします。そこまで行けば帰れるので」


あたしたちの家は駅からすごく近いため、楽には楽なのだ。


「駅までならすぐとは言わないけど短時間で着くから、寝ててもいいy…って、もう寝てる」


いつの間にか瞼が完全に落ちていた。
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