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死神に教わる甘え方。【R-18】

第4章 12月16日【あと8日】


「俺の店は会員制でね。この店を知ってるのは極限られた人なんだよ」

会員制の居酒屋だなんて聞いたことがない。予約制、とかならよく聞くけど、会員制って……。なんかやばそうな感じがする。

「あ、言っとくけど、やばそうな人が入り浸ってる訳じゃねえからな?お嬢ちゃん、顔に出やすいなー」

「お前がそのやばそうな人を出迎えるような悪人面の店長だからなんじゃねーの?」

洸くんったらひどいっ!ぷんぷんっ!
とか最近のアイドルでもしないようなぶりっ子ポーズを取りながら、店長が森下先生をぽかぽかと殴る。それを華麗にスルーし、森下先生が私の隣の席に着く。

「店長はこんなだけど、本当に美味いから」

本日2度目の言葉。
そんなこと言われても、どうも信じられない。

「おい、航平。いつまでもふざけるなよ。さっさと料理出せ」

「それが店長に対する客の口の効き方か?」

「それが客に対する口の利き方かよ」

どうやら、ボケとツッコミのバランスはしっかりと取れているらしい。夫婦漫才みたいだ。

「んじゃとりあえず、ビールな。邪魔者は奥に引っ込んどくわー」

「奥に引っ込んで客に飯を出すのがお前の仕事だろ」

いいからさっさと行け。とでも言うように森下先生が手で店長を追い払う。

「あんなんで悪いな」

「ううん。見てて楽しい。仲がいいね」

「あんなヤツと仲がいいとか……。まあ、幼馴染だし、腐れ縁ってやつかな」

幼馴染みなら、あの親しさも不思議ではない。私にも幼馴染みがいればこんな楽しい会話が出来ただろうか。

少し、幼馴染みというものに憧れる。
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