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死神に教わる甘え方。【R-18】

第3章 12月15日【あと9日】


今日の夕飯は肉じゃがだった。
どこか懐かしく感じる温かな味。
でも、昨日みたいにわあわあ騒ぎながら食べたらもっと温かくて美味しいのに、と思ってしまう。今の私たちの間にあるものは完全に沈黙だけだ。

ひとりの食事に慣れたはずだった。
一人暮らしをするのだから、それは当たり前だった。だから、慣れたはずだったのに。

一度、あんなに騒いで話しながら食べると、もうなかなか忘れられない。

昨日みたいに、もっと甘えてもいいんですよ?って死神がいたずらっぽく言って。それに私が、結構ですっていうか嫌です、って素っ気なく返して。そうしたら死神が、嘘ですっ!もっと甘えてくださいぃ〜!って泣きそうになりながら返して。

賑やかで騒がしいのを一度でもまた経験してしまうと、沈黙が悲しく感じる。

でも、よく考えると別におかしなことではない。

突然現れた自らを死神だと名乗る不思議な男と、会って2日3日で仲良く出来る方がおかしいのだから。よく考えれば、これが自然なのかもしれない。

相手のことを全く知らない。
だから、深く関わらない。

これでいいじゃないか。
これでいいんだ。

そう、頭では思っているのに。

どうしてこんなにも胸が苦しいのだろうか。
いや、苦しいとはまた違う。
喪失感、とでも言うのだろうか。

いつの間に、私は死神をこんなにも信用していたのだろうか。

所詮は死神。
少しばかり変わった死神。

それでいい。
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