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死神に教わる甘え方。【R-18】

第2章 12月14日【あと10日】


くつろぎすぎるのも申し訳がないので、キッチンの前に置かれたテーブルで持ち帰った仕事の続きをする。

宮本くんったら、懇談の志望時間の記入してくれてないじゃない。あ、佐々木さんも。いや、クラスも大事だけど、部活も問題が山積みじゃない。今日は休みだったからよかったけど、明日から部活があるし……。バスケットボール部が半面使うから、バレーの練習メニュー少し変えないと。試合形式にしようかな。折角だから1年生の子達もコートに入れて……

「大変そうですね」

「いや、大丈夫。これくらい……って、もう準備できたのね」

グラタンのほんわかしたミルクのようなクリーミーな香りが鼻をくすぐる。チーズの少し焼けたいい匂い。

「仕事も程々にしてくださいね。お体に障りますから」

「そうね。でも、だからといって手は抜けない」

死神が少しオーバーに肩を竦め、出来立てのグラタンをガーリックトーストと一緒に私の前に置く。ガーリックの食欲をそそるこの香りがまたたまらない。

「手を抜いてほしいとは思いますが、そういう生真面目な所があなたの魅力でもあります。ですが、もう少し肩の力を抜いた方がいいというのもこれまた事実」

スプーンでグラタンをひとすくい。
湯気が立っていて、すごく熱そう。

「折角ですし、今日喧嘩してきた同僚の方に頼んでみてはどうですか?」

熱っ。
舌、火傷したかも。

「喧嘩じゃないし。というか、かえって迷惑だと思う」

「いいえ。手伝って欲しいとその方に言って、謝る口実を作るのです。あなたの事ですから、どうせ、責任感だとかプライドだとかそういう矛盾したものが邪魔して、ろくに謝れないでしょう?」

うっ……。
図星。
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