第18章 3回目
後で、ちゃんと話をしないと。
口止めしないと。
事務所に何も言わず、少しの対策を取ったくらいで大丈夫だと思い込んでいた私が悪い。
「…大熊さん。大丈夫?」
「…はい。」
隣から降ってくるのは、優しい声。
「あの企画の時、彼女に突き飛ばされたのは見てれば分かるから。あの人、苦手でしょう?」
「…はい。」
「だから、一人で、勝手に、口止めに動かない事。及川さんと会ったの、見られたみたいだね。」
「…はい。…え?」
淡々と続けられる話。
さっき彼女から護ろうとしてくれた理由も分かったけど。
なんで、そこまで知ってるんだろう。
疑問を示すように顔を向けて首を傾げる。
「黒尾さん。社長が雇ってるの、忘れてない?」
「…あ。」
確かにそうだ。
私の身に危険が無さそうでも、変な噂だとかが立ちそうな事なら報告するのが当たり前だ。
声は小さかったけど、彼女を警戒していたから、さっきの言葉を聞かれている。
彼女が、私と何を話したいかも分かってる。
黙っている訳にもいかず、会った理由を今更だけど説明した。