第16章 驚きの事実

「はい、大熊です。」
『お、やっぱ出た。今日はオフの日だろ？』
「はい、まぁ。それで、あの。黒尾さん、今すぐ来て下さい。頼みたい事が…。」

掛けてきたって事は、向こうも用事があるという事。
だけど、自分の用件を先に言いたくて慌てたように喋る。

『ん？別に構わねぇが、先にこっちの話を聞け。』
「は、はい。すみません。」

そりゃ、そうである。
向こうの用事を無視して、こっちの話だけ聞いてくれ、なんて都合が良すぎる。

『さっき、お前のトコに電話なかったか？』
「…え？」

何で、知ってるの？
やっぱり、番号が晒されてる？
だから、心配して掛けてきた？

『その番号、岩泉クンだから。折り返し掛けてやれよ？』

そんなマイナス思考は不要だったようで、私の欲しかった答えが出ていた。

『じゃ、今からそっち行くわ。』
「いや、もう良いです。解決しました。有難うございます。」

さっきの電話の相手が岩泉さんなら、留守電を聞くのも怖くはない。

用事が済んだから、さっさと電話を終了させて、今度は留守電サービスに繋いだ。