第3章 出会い2
「確か、名は...橘 咲夜と言ったな?」
「っ、はい。」
話を振られ、どうにか応じる。
(...駄目だ。上手く頭がついていかない。誰か、この状況を分かりやすく説明してくれる人がいたらいいのに...。...流石にいないか。)
夢を見るのはやめようと、諭す。
「橘...。聞かない名だな。」
「そうだな。」
(へえ、戦国時代では珍しいのかな?『橘』って。...って、戦国時代って決めつけちゃってるよ。いいのかな...?)
そんなことを思っていると、
「...謙信様、信玄様。」
私達の数メートル先に一人の男性が現れた。
だが、その格好はまるで、
(...忍者?)
時代劇でしか見た事のないような黒い服を着ている。...まず、『服』と言っていいのかすら分からないが。
「佐助、あの寺はどうなった?」
オッドアイの男性...『謙信』さんが新しく現れた忍者らしき男性に問う。
「本能寺は焼け落ちましたが...、『織田信長』は生き延びた様子です。」
『織田信長』。その言葉が出ただけで空気が張り詰める気がした。