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CRIME【気象系BL小説】

第6章 não deixe


翌日。


部屋を出るとキッチンからいい匂いがしてきた。


もう出て行っただろうと思っていたのに…潤はそこに居た。


「潤…」


潤「おはよう兄さん」


振り返った潤は…ニコッと笑顔を俺に向けた後、また手を動かしていた。


潤「ご飯食べる?」


「ああ…うん…」


皿に盛られたのはベーコンエッグとトースト。


潤「俺もう食べちゃったからどうぞ」


「ありがと…頂きます」


カリカリに焼けたベーコンと半熟の卵が絶妙。
やっぱりこいつ…料理上手いな…。


でも…どうして…。
昨日あんなに…。


「あのさ潤…昨日は…」


潤「俺今日少し遅くなると思うから」


「え…」


潤「相葉さんと約束してさ。美味しい居酒屋に連れてってくれるって」


「雅紀と?」


そう言えば…雅紀がそんな事言ってたな。


潤「夜電話掛かってきてさ」


「そっか…」


潤「じゃそういう事で。お先に」


潤がそのまま玄関に向かう。


「あ…潤!」


慌てて後ろ姿を追い掛けた。


潤「何?」


振り返りもせずに潤は玄関で靴を履いていた。


「あの…昨日の夜さ…」


潤「どうでもいいよもう」


「え…」


潤「もう何も言わないよ。兄さんが何しようと関係ないもんな。どうせもうすぐ俺は出て行くし」


「潤…」


「不倫でも何でも好きにしなよ。じゃあ」


バタン、と後ろ手に扉を閉めて潤が出て行く。


最後まで潤は俺に笑顔を向けていた。
あの笑顔は…俺への拒絶の笑顔…。


その場に立ち尽くしたままの俺は…心にすきま風が吹くのを感じていた。
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