第6章 não deixe
ー翔sideー
「潤の奴…遅いのかな…」
テレビを見ながらいつもの様に1人での晩酌。
潤と同居してから寂しさが紛れるかと思いきや…余り変わらなかった。
潤は夜出掛ける事の方が多かった。
それでも…『世話になってるから』と…料理はしょっちゅう作ってくれてる。
「あいつの料理…マジで美味いんだよな…」
テーブルに並べられたコンビニの惣菜や冷凍食品のゴミ。
最後の一口を飲み終えると、立ち上がって片付けた。
「………そう言えば…彼女居るって言ってたもんな…だったら今頃一緒に…」
………俺を抱いた…あのバルセロナと同じ様に…彼女を抱いてるんだろうか。
熱く…激しくて…我を忘れる様な…セックス…。
「………ばっか!何考えてんだ!あんな事忘れなきゃなんねぇのに!」
ギュッと流しのコックを捻ると、テーブルに置いていたスマホが鳴っているのに気付く。
手を拭きながらリビングに戻り、スマホを掴んだ。
「………」
画面を見つめたまま固まってると…やがて呼び出し音は止んだ。
「………何なんだよ…」
終わらせよう。終わらせなきゃ。
着信履歴から俺は…リダイヤルをした。
「………もしもし。智…くん?」
智『翔くん…よかった…』
かつて愛した人の声に…俺は胸が締め付けらる想いになった。