第30章 〜30〜
「」
「は、はい」
「そう緊張するな。俺はお前と楽しく話をしたいだけだ」
光秀さんは微笑みながら私を見た。
(……笑ってるはずなのに目が鋭い気がするのは何故……)
「、いくつか質問をしてもいいか?」
「はい。私に答えられることならお答えします」
(変にびくびくしてたら駄目だ。私のことより、歴史をこれ以上変えないように気をつけよう。よし、気合いいれるぞ。)
姿勢を正して、真っ直ぐ光秀さんを見る。
光秀さんはゆっくりと口を開いた。
「最初に会った時にも聞いたが、お前は未来から来たのだったな」
「はい。この時代から500年位未来ですね」
「500年……その頃には時代を超えることが容易に出来るのか?」
「いえ、そういう作り話は良くありますけど、実際に時代を超えたという人は恐らくいないと思います。」
「ほう……」
「まあ、私が知らないだけで、そういう人もいるかもしれませんけど……」
「お前は……何故本能寺に居たのか、自分でも分からないと言っていたな」
「正確には、本能寺には自分で行きました。でもそれは、この時代では無く未来の本能寺の跡地で。そこで時空が歪んだのか、この時代の本能寺に飛ばされて……」
「そこでお館様を助けた、と」
「そうです……」
「不思議なこともあるものだな。お前のような小娘があのお館様を助けるなんて」
「そうですね……」
(なんか、やんわり尋問されてる気分……)
「お前がいた未来では、今生きている人間の事はどうなってる」
「どう……というと?」
「この時代でも、過去に歴史を動かした人物は書物に名が残っている。それは恐らく、お前の時代でもそうだろう」
「はい。そうですね。(核心きちゃった………)」
「500年先の日本では、織田信長は、そしてその家臣の者達、敵将達はどう言い伝えられている」
「えっと……」
ちらりと秀吉さんを横目で見ると、険しい顔で私を見ていた。
(全然助ける気ないじゃん……むしろ俺も興味あるなって顔してる……)