第12章 この気持ちを隠すつもりはない【大倶利伽羅】
「見つけましたよ、倶利伽羅先輩」
そうやって、太陽の日差しをバックに悪戯な笑みを浮かべる彼女に、俺は肩を揺らした。
「今日もこちらの猫ちゃんを誘惑中ですか」
「…慣れ合うつもりはない」
「私は、倶利伽羅先輩に会いに来たわけじゃないですよーだー」
つい、思ってもない事を言ってしまって、彼女から顔を背ける俺。
そんな俺に、彼女はニコニコと近寄ってきたかと思うと俺の組んだ足の真ん中に座る猫の方へと行く。
「今日も来たよ、ロビンちゃん」
にゃあん
猫の頭を彼女は優しく撫でると、猫は気持ちよさそうに一鳴した。
猫、ロビンとは彼女が野良猫に勝手につけた名前だ。
はじめて、彼女に見つかってしまった日。
彼女は、俺をからかいつつニヤニヤしながら、猫に向かってロビンちゃんは愛されてまちゅねぇと発してから、この猫の呼び名はロビンとなった。
それは俺と彼女、二人だけの秘密だった。
「はぁ、ロビンちゃんはほんと可愛い」
彼女の指を小さくパンチしながら戯れあうロビン。
そんなロビンにメロメロな彼女。
かわいい、と思ってしまった。
「可愛いと思いましたか?」
「…」
彼女はエスパーか何かなのか。
何故かバレた心の声に固まっていると、ロビンの手を持ち、膝をポンポンと叩いてきた。