【黒子のバスケ】それはいっそ悪夢のよう【緑間真太郎】
第1章 それはいっそ悪夢だったら
「要…」
なんだこれは…
目の前に広がる赤
それは一面に広がって俺の両手も真っ赤に染まっている
この赤を作っているのは道路に横たわっている見知った少女で…
その赤が彼女の血と分かるのには些か時間を要した
何をやっているのだよ要…
道路で寝るとは全くだからお前は駄目なのだよ
早く起きろ…何故何も言わん
「要…要…」
体を揺すっても彼女は全く起きる気配がなかった
顔は蒼白で閉じた目からは何時もの挑発的な色が見られない
「真ちゃん!!城ちゃん!!」
遠くから高尾が血相を変えて走り寄るのが見えた
それから騒ぎ声をあげた通行人達も…
そこで俺の思考がだんだんとクリアになる
改めて真っ赤に染まった両手とそして横たわる要見た
ああ…なんという事だ
要は轢かれたんだ…俺を庇ってトラックに…
「ああああ…うあぁぁぁ!!!」
血の海の中心で要を抱き悲鳴をあげる俺に誰かが囁いた気がした
いっそ悪夢だと良かったねと