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俺らのマネは地味子さん。

第12章 NINE






ー村上sideー


恒例となりつつある、着ぐるみ。
中継が入り、俺らは踊りまくった。

騒ぎに騒いで、また衣装替えに裏へ引っ込む。

「おらん」
「わからへん」
「いない、はないよな?」

何度目になるだろうか。
だが、誰1人白元の姿を見つける事は出来てない。


「すばる」

「わかってる。
おい、山田最後に聞く」

ゴクリと生唾を飲む山田。
もう、逃げも隠れも出来ないやろう。
何せすばるが椅子に縛り付けたんやからな。

「1つだけ教えてくれ。
地味子はここに来てるのか?」

「・・・来てます。
ちゃんと確認しましたから」

本番前、山田の姿が見えないと思ったら確認してくれてたんか。

「それがわかればええねん。
手荒な真似して悪かったな」

「!!し、し、渋谷さんが謝った!!」

そりゃ、驚くだろう。
俺も驚いた。

「ダメです!渋谷さんが謝る時は良い事があるはずないんです!!
謝らないで下さい!取り消して下さい!!」

「山田、お前・・」

「ダメですよ!
何をするか知りませんが絶対にダメです!」

「流石、マネージャーや」

そう言うとすばるはステージへ向かって行く。

「む、村上さん!止めて下さい」

「・・・悪いな、山田。
あいつに入れ知恵したのは俺なんや」

「えっ?
・・・・そ、そんな」

「山田、聞け。
これから起こる事は誰も知らんかった。
スタッフもマネージャーも誰1人知らんかった。
ええな、突き通せよ」

俺たちはお前達を利用したんや。
巻き込む気は無い。

「無理です!解いて下さい!!
俺は、俺は!
一緒にやります!!」

「・・・アホかお前」

「アホでいいです!
無職になったって構いません!!
俺だって、力になりたかったんです」

それ、言ったらあかんやん。
まるで、この先にある答え突き付けられたと同じやで・・

俺は、ギュッと拳に力を入れ天を仰いだ。

あかん。
ダメや・・・
まだ、ダメや・・

「村上くん!すばるくんが始めたで!」

亮の声に視線を戻す。
ステージから聞こえる声。

青くなるスタッフ達。

俺はステージへ向かって走った。




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