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俺らのマネは地味子さん。

第11章 EIGHT






ー渋谷sideー



思いっきり手を振り上げた地味子は、亮の頬スレスレで手を止めた。
そのまま殴れば良かったのにと思った事は内緒や。
亮にはええ薬になったやろーな。


「さて、みなさんそろそろ時間です」

腕時計を確認した地味子の言葉にメンバーは、ぞろぞろ楽屋を出る。


「白元・・」

「はい、どうかされました?」

俺も流れに乗って出ようとした時、ヒナの呼び止める声に俺も足を止めた。

何やろ?
そう、思い振り返った。

「!!」

ヒナが地味子の右手を掴み、袖を捲り上げてる瞬間やった。
意図がわからなかったがそこに見えたモノに驚いた。


「これなんや」

「・・平気です」

「それは聞いてへん。
これは何やって聞いてんねん」

腕時計を付けた位置より少し上、そこに深く跡が付く爪痕。
腕を引っ掻いたっうより、ワザと強く爪を立てた様な傷跡やった。


「・・自分でしました。
だから、大丈夫です」

「大丈夫やねぇやろ、それ一種の自傷行為やで!」


俺の言葉にビクッと肩を揺らす地味子。

「リスカはしてません。
そんなバカではありませんよ・・」

「でもな、俺から見たら同じ事やで。
自分で自分傷付けて、ええ事なんてないんや!」

「・・何でこんな事はしたん?」



責めたらあかん。
わかってる、わかってるけどヒナみたいに優しく聞けん。
そう思い俺は楽屋を出た。

地味子が何言っても今の俺じゃ、優しく包めへん。


虚しいわ・・・




「亮」

「何?すばるくん?」


ーバシッ!ー


「ちょ!すばやん止めて」
「急にどないしたん?!」


慌てて止めるヤスとマル。
そりゃそうだ、振り向きざまに亮の腹に1発入れたんやからな。

急な衝撃に腹を抱え、膝を付く亮。


「俺がムカついた、それだけや」

やり返すならやり返したらええ。


「・・すばるくん。
良かったわ、誰か殴ってくれて助かった・・」

チッ。
ほんま、後味悪いで・・・






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