第8章 お茶をどうぞ、お嬢様〜執事松〜
「ひん、と…が…」
一松に身も心も服従しかけた刹那——、
「お取り込み中大変失礼しまーーーーすッ!!」
ものすごい勢いで扉が開き、憎き顔その5松が入ってきた。
中断を余儀なくされ、急いで離れる私と一松。
「……んで、これ間違いだから。両辺で数が合ってないから、化学式を変えるか係数を変えてやり直してみて」
一松はソファに座りなおすと、さっきまでの出来事がなかったかのように淡々と私に答えを教える。
「ええ、あ、ありがとう」
一松…危険な男!
危うく私の中の新たな一面が目覚めそうになったじゃない!
君子危うきに近寄らず。
気をつけないとまた何をされるか分からない。
でも、なんだかクセになってしまいそう?
ってどうしちゃったの私!?
なぜだか今日はクズ執事達にいいようにされているような…。
そんなこんなで、言葉責めを初体験しちゃう私なのだった。