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おそ松さん〜寝物語は君の隣で〜

第11章 リクエスト作品 ハニーに首ったけ〜カラ松〜





「まさか、ハニーがここに来たいとはな…」


水面を見つめながらポツリと、カラ松。


「嫌だった?ここでデート…」


弱々しい声で尋ねると、カラ松はパッと顔を上げて慌てた様子でぶんぶんと頭を振った。


「ち、違うんだ!ただ、せっかくのデートだから、もう少し雰囲気のあるデートスポットの方がよかったんじゃないかと思ってな」

「ううん、ここがいいの」


釣り糸の先——動く気配のない浮きをぼんやりと見つめた。釣り堀なんて家族とむかーしむかし来た以来だから、全然コツが掴めない。


「カラ松はさ、よくここ来るんでしょ?」

「ああ。ブラザーとな」

「だから私も来てみたくて」


この間、兄弟と釣りをしたことを嬉しそうに話していたのを聞いたら、私も釣りをしたくなったのだ。

だから、今日は私から釣り堀デートをリクエストしてみたのである。


「話聞くだけじゃなくて、私もカラ松と釣りしてみたかったの」

「なるほど。オレをもっと知りたいのか?」


とここで、不意にサングラスをかけ直し顎に手を当てるカラ松。

カッコつけたい時、大抵彼はサングラス。もしかしたら照れ隠しもあるのかも。


「うん、全部知りたい」


カラ松といろんなところに出かけて、彼のいろんな一面を知りたい。


「いいのか?火傷し……ぜ、ぜんぶぅッ!?」


何をそんなに驚いたのか、カラ松は突然立ち上がり釣竿を釣り堀に放り投げてしまった。頭を抱えている彼を横目に急いで店員を呼ぶ。

そんなわけで釣りは一時中断——



「すみません、はい、はい、気をつけます…」


白い目の店員さんにペコペコ頭を下げる私の彼氏。


(カッコつけるのにちょっと天然なのが可愛いんだよね)


なんて思いながら、私も店員に謝る。店員は「次は気をつけて」と呆れ顔で告げながら替えの釣竿をくれた。

落ちた釣竿を回収し、釣りを再開。


「フッ、情熱的な魚に竿を奪われてしまったようだ」

「ふふっ、気をつけないとね」


少しのハプニングだって、カラ松と一緒なら全部幸せだ。


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