第2章 出会い
それから、疲れたらすぐに横になることを条件にロイとマルコはこれまでのことを話した。
白ひげの命を狙う海賊に別の島で誘拐されたこと。
マルコをこの家まで連れてきたのは沙羅だったこと。
そして、丸五日眠っていたこと。
そこまで話してマルコは、ハッとした。
「すまねぇが、電伝虫を持ってたら借りてぇんだが」
すると今まで静かに二人のやり取りを聞いていた沙羅が言った。
「電伝虫ってなぁに?父(トウ)さま」
「・・・」
その言葉にマルコはこの家にはそれがないことを悟った。
「離れた場所にいる人と話ができる虫だよ」
「ふ~ん、マルコ遠くにいる人と話がしたいの?」
どうやらあまり興味がわかなかったらしい沙羅は、そう言った。
「オヤジに、モビーに連絡を取りてぇよい」
すると、沙羅は不思議な事を言った。
「白いおひげの大きなおじさんなら、今向かってるよ、大人しく待ってろって言ってた」
「は・・・?」
思わずマルコは間抜けな声をだした。次の瞬間だった。
「沙羅、ちょっといらっしゃい」
キッチンにいたユエが、強ばった声で沙羅を呼んだ。
「母さま?どうかしたの?」
去っていく沙羅と、苦笑を浮かべるロイにマルコはそれ以上、疑問をぶつけることができなかった。