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狂気の傷痕【刀剣乱舞】

第10章 湯浴。


鶴丸『先客がいるとはな…
すまんすまん。』


『い、いえ…。』


彼に背を向けて返事を返せば
鶴丸様はぺたぺたと近づいて
来た気がする。


ですよね、入りますよね
知ってますフラグ回収ですもん
お疲れ様です…来ないで下さい。


私の気持ちをよそに
鶴丸様は桶を手に取って
お湯を体へと流した。


『いい湯加減だな…
なぁそうは思わないか…?』


『えっ…!?あっ…はい…
とってもいい湯加減だと…。』


まさか話をふられると
思わなくて驚いてしまった。


じゃぷ…ん、


お湯の波が私にまで届いて
鶴丸様がお湯へ浸かったのだと
すぐにわかった。


鶴丸『あぁ…いい湯だ…。』


日本人なら聞いた事がある
セリフを聞きながら私はこの場を
どう抜け出すか必死に考えた。


出たい…でも逃げるようで
鶴丸様に不快な思いをさせるとか
考えてしまい素直に出ていけない


鶴丸『なぁ…少し、話さないか?』


『はなし…です、か。』


はて…彼が私に聞きたいことが
あるというのだろうか…。


『構いませんが…、』


鶴丸『今回の審神者は
寛大な心の持ち主らしいな…。』


『そんな事は…ありません。』


だって私は心なんて広くもない
ただ…臆病なだけだ。


鶴丸『また謙遜をっ、

あんたが来てからこの本丸は
変わりつつある驚くようにな

前の審神者は傷ばかり残す
最低な奴だったからな…。』


鶴丸様の言葉に耳を傾ければ
近づいてくるようなお湯が波打つ


鶴丸『だから感謝してるんだ。
他の皆もそうだと思うぞ。』


『何も、出来ていません。
私は皆様を理解しているフリして
結局は逃げているのですから…。』


そう…前審神者の資料を読まない
それは傷付いた刀剣を見たくない。


なおすだけに専念したいからだ。


鶴丸『本当に、そうか?』


ぴちゃん。


『えっ…。』


後ろからガバッ…と
私を包み込んだ。


お湯が大きく波打ち
お湯で熱くなった鶴丸様の体は
遥かに小さい私を容易く捕まえる


鶴丸『逃げているだけなのだろう?
では、今ここで逃げてみるか。』


決して力を緩めることをせず
私は彼に捕えられたまま。


まるで、私だけの檻のように…


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