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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第9章 狂うほどに君を愛してる / 徳川家康





「え、トウガラシ要らないの?」



夕餉時、御前を部屋に運んできた舞は、目を真ん丸くして家康に言った。



「ちょっと辛いもの、控える事にした」
「なんで、調子悪いの……?」


御前を家康の前に置くと、舞は熱を計るように、ふわりと家康の額に触れた。
それだけで、身体中に火がついたが、家康は何とか政宗の言葉を思い出して、押しとどまる。













『数撃ちゃ当たるなんて、冴えない男の考え方だぞ。 決めるなら一回で決めろ……そうだな、十日くらいは舞を抱くな、触れるのも禁止だ』

『十日も?!』

『お前の種を色濃くするためだ、我慢しろ。 それから辛いもんも駄目だ、あれは身体に良くない』

『好物も駄目ですか……』

『肝心な時に勃たなくなるぞ。 優秀な種を植え付け、子孫に残すのは男の役目だ。 いいな、約束守れよ』

『俺、十日しないうちに死ぬかも』

『死んだらそれまでの男だったって事だ』














「…………」
会話を思い出し、げんなりとため息を付く。



(なんであんなに詳しいんだ、政宗さん……)



もしかしたら隠し子でも居るんじゃないかと疑いたくなる。
しかし、自分自身のために言ってくれているのだと、家康は無理くり納得した。


「家康? やっぱり具合悪いんじゃ」

押し黙った家康に、舞は心配そうに尋ねる。
家康は、額にある手の手首を掴み、やんわり引き離しながら言った。


「大丈夫、なんともないから」
「具合悪かったら、すぐ言ってね」

舞は納得していないようだが、手を離し、御前の前に座り直す。

二人して黙々と夕餉を取っていたが、やがて家康が満を持したように切り出した。


「舞、明日からなんだけど」
「うん」
「明日から仕事で政宗さんの御殿に泊まり込みになるから……十日くらいは帰って来れない」


(ごめん、嘘。 でも俺、舞と一緒に居て触らないとか無理なんだ)


政宗との約束を守れそうにないので、家康から政宗に願った事だった。
禁欲中、泊めてくれ、と。


そっと舞の顔を伺う。
顔には『寂しい』と、ありありと書いてあった。


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