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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第7章 可愛いお前の虜 / 伊達政宗




舞は行灯の明かりの元で、何かやっているようだった。
襖を開けたのに、気がつく様子もなく……
必死に手を動かしている。



「舞……?」



政宗がそっと声をかけると、舞はびくっと肩を震わせ、こちらを向いた。
見ると、目元に包帯をしていない。


「お前……何やってるんだよ」


政宗がづかづかと舞に歩み寄り、手元を見ると……
手には布と針が握られている。
明らかに、何かを縫っていたようだった。


「あ……っ」
舞から、強引にそれを奪い取る。
政宗は目元を吊り上げ、舞に言った。


「目がまだ治ってないのに、何やってる。 こんな事してたら、治らないぞ」
「…………っ」

政宗の強い口調に、舞は俯いて黙ったままだ。
その様子にちょっと苛立って、政宗は舞の顎に手をかけ、強引に自分の方に向かせた。


舞の瞳は赤く充血しており、多分こんな事をしていたのは今日だけでは無いのだろう。



「何をしてたんだ」
「贈り物を、作ってました……」
「無理してまで作るものか?」
「だ、だって……」




政宗の言葉に、舞は一回唇を噛みしめ……
泣きそうな声で言った。













「明日、政宗の誕生日だから……」
















その舞の一言に、政宗は目を大きく見開いた。


誕生日、そんな事はすっかり忘れ去っていた。
最近は舞に何の飯を作り、何時に包帯を変えて、湯浴みに連れて行って……

そんな事しか考えていない自分に気がつく。



「そんな事はどうでもいいだろ……誕生日なんて毎年来るし」
「どうでもよくないよっ」


乾いた声で言う政宗を、舞は一喝した。


「私達が恋仲になって初めての誕生日だから……ちゃんとお祝いしたかったの。 こんな事になって、たくさん迷惑かけたから、お礼もしたくて」


舞の声が、どんどん小さくなっていく。


「違う、ごめん。 これも言い訳、ごめん」
「言い訳?」
「本当は……」




舞の目から、一筋涙が零れた。








「目が治らなかったら、もっと政宗と一緒に居られるかもって……思ってた」







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