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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第1章 臆病なその奥/豊臣秀吉




――― ガタガタガタッ!!!



その時だった。
突然、襖(ふすま)が大きな音を立てた。
二人は反射的に身体を離す。



「な、なんだ?」
秀吉が不思議に思って、襖に近づき思いきり開ける。
すると。


「わぁっ」
思いきり何かがなだれ込んで来たかと思うと、そのなだれ込んて来た何かは、痛そうにうめき声を上げた。


「政宗、家康…!」
「あ」
「秀吉さん、舞……っ」
二人はバツの悪そうに笑っている。
秀吉は唖然とした。


「お前達、いつから…」
「すみません、秀吉さん。 わりと最初のほうからです」
「お前達があんまり奥手なんで、歯がゆくてな」

身体を起こしながら、政宗がしれっと言う。


「まあ、なんだ、あれだな」


政宗は、ぽんぽんと秀吉の肩を叩いた。


「頑張れ」



「お、ま、え、な―――!!!」










「なに、この騒ぎ」
ドタバタと騒がしく政宗を追いかける秀吉を尻目に、家康は舞の隣でしれっと呟いた。


「家康も当事者でしょう?」
見ると、舞はまだ顔を赤らめていた。
恥ずかしい…と言う風に、両手で頬を抑えている。

「俺は政宗さんに巻き込まれただけ」
「結局二人して聞き耳立ててたなら、一緒だよ」
「でもさ」

舞の言葉を遮るように、家康は続けた。

「なんで秀吉さんを部屋に呼ぶ必要があったの? 話をするだけなら、どこでも良かったんじゃない?」
「あ、それは…」


舞は頬から手を離した。
「私があっちの世から持ってきたものがあったから。それに興味あるんじゃないかなって。あまり外には持ち出したくないし…」
「なるほどね」
「それに…」


舞は顔を赤らめて、はにかむように続けた。




「秀吉さんが人目気にせず、構ってくれるかなって…」




「……っ、あんたね……」
心を鷲掴みされた事を悟られないように、家康は呟いた。
そして、握りこぶしを作ると、それで舞の唇をちょんとつつく。

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