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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第3章 愛しい爪先に口付けを / 伊達政宗




「政宗ーっ!」


庭で照月と遊んでいた政宗は、その声に振り返った。
舞がきらきらと目を輝かせて、小走りに駆けてくる。
政宗は飛びついてきた舞を、しっかりと胸で受け止めた。




結局、舞はあの夜の事を、何も覚えていなかった。

ただ、身体は正直で、舞はあの日から数日寝込んだ。
あれだけ激しく愛し合えば、身体も悲鳴を上げるだろう。


なんでこんなに身体中が痛いんだ、と不思議がる舞に、政宗は本当の事を教えなかった。


媚薬で我を失っていたなんて、伝えられない。
本当の事を知ったら、舞は傷ついて泣くかもしれないから。


政宗は、あの夜の事は胸に秘めておこうと決めた。






「ん? なんだ、それ」
政宗は舞が胸に抱えている物が気になって、それをふわっと取り上げた。


「あ、政宗。 乱暴に扱わないで」


広げてみると、それは新品の羽織だった。
鮮やかな黄色い布地。

ん?黄色?


「……これ、家康のか?」
「うん。 家康、そろそろ遠征から帰って来るでしょう? いつも弓の稽古とかでお世話になってるから…。 良い布を秀吉さんから貰ったの」



(家康、秀吉……)



政宗は面白くなくて、舞を腕の中に閉じ込めると、落ち着きを払った声で言った。


「仕事以外で、他の男に着物を作るな。あと、気安く物を貰うな」
「政宗?」
「欲しい物があるなら、いつでも買ってやる。 だから…ん?」


気がつくと、腕の中の舞がびっくりしたように見つめていた。
目を丸くさせ、舞は政宗に問いかけた。



「政宗、もしかして……嫉妬してる?」




何も言わない政宗に、舞はそれが当たっていたと確信したようで。
はにかんで、ふにゃりと笑った。












あの夜、何故一瞬だけ舞が正気に戻ったのか。
それは確かめる術もない。
もしかしたら、媚薬に侵された自分の勘違いかもしれない。


でも、媚薬に振り回されながらも。
確かにあの一瞬だけは、愛は存在していたと。
媚薬なんてものを越えて、お互いを求め、交わり合えたんだと。


政宗はそれを確信しながら、世界で一番愛しいその人に口付けを落とすのだった。









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