第1章 臆病なその奥/豊臣秀吉
「とにかくだ」
秀吉は一つ咳払いをして、場を仕切り直す。
「俺は舞に話を聞きに行くだけだ。部屋に呼んだのも、深い意味はないだろ」
「まぁ、そう言う事にしといてあげますよ」
家康がまた手元の本を開き直す。
政宗も政宗で、仕事に手を戻しながら秀吉に尋ねた。
「で、なんの話を聞きに行くんだ?」
秀吉は、ちょっと気まずそうに頬をかきながら言った。
「あいつの…舞の居た世界の話だ」
舞は五百年先の世界から来たらしい。
最初それを知った時は、なんて突拍子もない話だろうと思った。
しかし、舞が嘘をつく女ではない事も、よく知っている。
まぁ…気になると言えば、気になる話だ。
惚れた女の事なら、なんでも知りたくなる。
そう話したところ、部屋に来るかと誘われた。
その真意は、さっぱり解らない。