第7章 緋色の再会──Sherry, Russian
「やられちゃったか……」
私は大きくため息をついた。
事件当時、シャンデリアのそばにいた7人──三瓶康夫、南条実果、俵芳治、麦倉直道、樽見直哉、桝山憲三、クリス・ヴィンヤードが現在事情聴取されている。
と、食事をしていた三瓶さんが何かをプッと吐き出した。
「シェフを呼んで来い!」と騒ぐ三瓶のそばのテーブルにもたれる私。そしてそのテーブルの下からコナンが顔を出した。
「それ何?」
「シャンデリアの鎖の破片だ……」
「何であんな所にあったのかしら……」
ふむ……と考え込む2人の手を哀ちゃんが引っ張った。
「きゃ!?ちょ、ちょっと哀ちゃん!」
「お、おい!どこ行くんだよ?」
「逃げるのよ……
このままここに留まって無意味に時間を浪費するのは危険だわ!それに手掛かりはさっき拾った鎖の破片ただ1つ……いくらあなたでも、あれだけじゃ犯人を割り出すことなんて出来っこないわ」
さすがのコナン君もそれには返す言葉がなかったようだが、──「2つならどお?」私はふふっと不敵に笑った。
驚いたような顔をする2人に私は話す。
「明かりがつく前に、私の頭上にこれが落ちてきたのよ」
私はポケットから先ほど落ちてきたハンカチを見せた。それの左上には『酒巻監督を偲ぶ会』と刺繍されている。
「多分、これの持ち主が受付でもらったハンカチよ。それに……」
私はくるりと周りを見回した。2人も私に続いて見渡す。
「この会に来ている人達はみんなこのハンカチを持ってるけど、色が違ってるでしょ?」
それだけでコナン君はハッと気づいたらしい。ニヤリ、と笑った。
まだ納得のいってない哀ちゃんに私が説明を続ける。
「多分、酒巻監督の代表作・『虹色のハンカチ』に掛けて、来場した人達に七色のハンカチをランダムに配ったのよ。つまり──」
「受付で調べれば、この紫のハンカチをもらった人物はある程度特定できるっていうわけか!」
だが哀ちゃんはまだ食い下がろうとする。
「でも、それが本当にあの殺人に関係している物かどうかなんて……」
「ああ、まだ何に使ったかも犯人の物かさえも分からねーが……」
「事件に関係している可能性はゼロじゃない……でしょ?」
私とコナン君は不敵に笑ってみせた。